グローバル共生プログラムの第1期生となる学生のみなさんに、本プログラムに対する感想や研究活動、今後の目標などについて聞きました。(2012年7月現在)
特定の学問領域を超えて幅広く学べるところに惹かれました。また,グローバリゼーションとのかかわりの中で自分の研究を捉えており,このプログラムを志望しました。
和田毅先生の「グローバル社会動態III(Contentious Politics I)」です。社会運動に関する研究をその古典から現代に至るまでカバーする授業で,予習のリーディングが大変ですが,その分返ってくるものも多く,非常に勉強になっています。研究には直接関係しない分野ではありますが,この授業を通して研究の基礎体力を養っています。
日本の大学生の海外留学について研究しています。昨今「グローバル人材」が話題になっている通り,人々の関心も高まっている分野ですが,留学と社会との関係性をもう少し冷静に見る必要があると感じています。社会の中で留学はどのように扱われていて,それを受けて学生はどのような行動を起こすのかを解明していくことで,このテーマを考える新しい視点を提供したいと思います。
修士号取得後は,大学教育に対する関心から,大学職員になることを考えています。また,公益性のある仕事にも興味があるので,地方公務員なども視野に入れています。将来的には「グローバルな視野を持ちつつ,ローカルで活躍できる人材」になりたいと思っています。
グローバル共生プログラムは,できてからまだ間もないですが,「新しい大学院を開拓していきたい」という野心にあふれた場所です。これまでの考え方にとらわれない,新鮮なアイデアと行動力をもった人々の参加をお待ちしています。
日本の生活を味わいながら、グローバル社会に関する様々な知識を身につけたく、また将来は国際NGOでの就職に役に立つと思い志望しました。
所属は地域文化専攻なので、北米・中南米地域文化演習を履修しています。今学期の講義テーマはアメリカにおける国民化のプロセスにおいて、人種、市民権、ジェンダーの概念がどのような力を有してきたのか、その歴史を考えるという授業です。
アメリカにおける貧困問題削減のためのNGOの活動と役割を研究しています。
国際NGOで自分の知識を生かして人々の福祉のために働くことを目指し、頑張っています。
自分の興味のある分野の勉強を進めるとともに、さらにビジョンを広げ様々な社会問題に関心を持つことが大事だと思います。入試の際は、自分の考えを正直に書き、答えられればいいと思います。
募集要項を読んだときに、横断的な学問が出来ると感じたことが大きな動機です。
私はいわゆる「タコ壺型教育」に違和感を抱いており、より広い視野から学問を深めてみたいという自分の志向に、本プログラムが沿うものであると感じました。また、「グローバル化」という現象にも関心があったので、それをより包括的に扱える貴重な機会であると思い、本プログラムに志願致しました。
「グローバル共生基礎論Ⅰ」という必修授業にて、「アジア主義」という概念について検討しています。具体的には竹内好の文献をゼミ形式で発表・輪読します。「アジア主義」なる概念がいかに侵略主義・協調主義といった相反する理念を内包していたか、その深さについて考察しています。
戦後日本のナショナリズムを、理論ベースに構築することを試みています。7月現在、丸山眞男や橋川文三などの著作を検討し、戦後直後から1950年迄の精神史を洗い出しています。今後は1960年以降の精神史を読み解きながら、理論の更なる発展・精緻化を図っていこうと考えます。最終的には、現代日本における「若者の右翼化」「ぷちナショナリズム」との間に何らかの整合性を構築することを目標としています。
修士号を取得した後、一旦社会に出ようと考えています。具体的には国家公務員あるいはジャーナリストといった職業に就き、今まで学んできた知識を実践的に活かしていこうと構想しています。
1期生だけでも色々なバックグランドを持つ人がいるので、今後も多様な背景を持った人をお待ちしています!人数は未だ少ないですが、その分和気藹々とした良い環境だと思います。
地方自治体が多文化共生や国際化を推進し、世界に開かれた地域社会づくりを行うための方法を、言語情報科学の視点から研究したいと考えたためです。
グローバル共生基礎論、言語情報科学特別講義、中国語、韓国朝鮮語です。
漢字文化圏の固有名詞(人名、地名等)を日本語(漢字、カタカナ等)でどのように表記すると分かりやすいか、また、日本の固有名詞を漢字文化圏の言語や文字でどのように表記すると分かりやすいかを検討し、自治体や鉄道会社で作成する看板や地図を多言語表記する際の最適な表記システムを確立することで、地方自治体等の国際化を研究することを構想しています。
Q3の回答で確立された表記システムが地方自治体等で採用され、ローマ字表記とならんで、漢字文化圏の言語や文字による多言語表記が進むことを目標として考えています。
「グローバル共生」を推進するにあたっては、さまざまなアプローチがあると思います。グローバル共生プログラム(GHP)の院生は、GHP科目に加え、言語情報科学、超域文化科学、文化研究、国際社会科学の4つの領域のいずれかの科目も履修することになりますので、より広い視点で「グローバル共生」にかかわることができます。院生の顔ぶれも、一般の学生に加え、留学生や社会人学生もいて、GHPそのものが多文化共生社会の縮図といえるでしょう。みなさんもぜひ、GHPで自分なりの「共生」を探索してみてください。
国際関係論を学ぶうちに、次第に思想・哲学など人文科学(Humanities)に基づく研究が重要だと考えるようになりました。ところが、日本にはそのようなプログラムがなかなかありません。本プログラムは、人文社会科学の総合的知に基づいて世界を理解し、問い直そうという、まさに私が求めていたプログラムでした。一番の動機は、私の関心と本プログラムの目的が共鳴したからです。
グローバル社会動態論Ⅰ(酒井哲哉先生)
近代日本における国際秩序論を政治史・思想史的視座から再検討していきます。酒井先生の豊饒な学識から読み解かれる近代日本の国際秩序論は知的刺激に満ちています。現在、国際社会は新たな動揺期に入ったように思えますが、その動揺の中で、思考の惰性に陥ることなく、国際秩序の動向を見据える思考力を研ぎ澄ましていくためのエッセンスが本授業には詰まっています。
国際社会・国際秩序は、よく見ると、人々の思想や価値、アイデアが複雑に織り成し、不断に編み変えていく綾によって彩られています。そこで、近年、主権と介入をめぐる議論の焦点となっている「保護する責任(Responsibility to Protect)」というアイデアをとりあげ、そのアイデアをめぐって展開されている議論を政治思想史的視座から読み解き、現在、国際秩序がいかに変容しつつ(されつつ)あるのかを描き出したいと考えています。
将来的には、本プログラムでの研究を更に発展・深化させていく一方で、国際機関等での実務にも携わりたいと考えています。理想は、学問と実践の二兎を追いながら、国際社会に対して価値ある貢献をしていくことです、こういう観点からも、学問と実践の両立を一つの目的とし、社会人を積極的に受け入れる本プログラムが、私には非常に魅力的でした。
本プログラムは始まったばかりです。また、Q1でも触れたように、日本では他に類を見ないプログラムであるとも言えます。まだ誰も踏み入れていない地に歩を進めるのは勇気が要ることです。私自身不安も感じますが、その不安を楽しみに変えられるよう頑張っていきたいと思っていますので、是非、一緒に切磋琢磨して、道を切り開いていきましょう。